2019年05月09日
天才の不在
今晩は、本日も粛々。
国立新美術館で、トルコの至宝と、ウィーン・モダン展を観てきました。
さすが芸大で勉強してきた妻が、
クリムトやシーレの、突っ込んだ解説をたくさんしてくれました。
オスマン帝国の期間は約600年、
江戸時代の倍以上の長きにわたる帝国ですが、
時期的には重なる部分もあります。
特に今回は、スレイマン1世からの美術に焦点が当たっていたので、
江戸時代前後50年ほど長くしたところですね。
独自の文化が醸成された点では、江戸時代は特筆に値しますが、
異文化の吸収度合いという意味では、さすがにオスマン帝国に分があるなぁ
という印象を受けました。
まぁ、支配領域が江戸と比べる方が酷ですか。。。
第一次世界大戦直前のウィーンは、
江戸時代の金沢と状況がよく似ていて、
両方とも、巨大な検閲を恐れて、
工芸品や身近な私的領域などに芸術の対象が向かっていきます。
しかしながら、金沢にはクリムトのような天才は生まれませんでした。
それはなぜかというところに、思わず関心が向きました。
表面的なことを言えば、
当時のウィーンは、排他的ナショナリズムが吹き荒れるヨーロッパにあって、
数少ない多民族国家であった点があるかもしません。
ちなみにヴィトゲンシュタイン家やフランツ・カフカ、
ワーグナー、フロイトにヒトラーまで、
尖がった人材がたくさん、世紀末ウィーンから登場します。
クリムトはスキャンダルまみれの人だったらしいので、
同質的な社会では、真っ先に潰される、
いや、登場すらしえないかもしれません。
唯一、写真を撮ってもよかったので、ぱちりと。
トルコ展とウィーン・モダン展で買ってきたものを、
わしわしと寺子屋内に飾ってあります。
クリムトが書いたポスター(もちろん複製)です。
余白の使い方があまりにかっこよくて、
つい、
事務所のドアに貼りました(笑)。
他にもいろいろとありますので、
ぜひ見つけて、
堪能してください。
ごんぼっち
2019年04月18日
東大を舐めている人たちへ
今日は、本日も粛々。
もうこの話題は止そうと思っていたのですが、
あまりにも頓珍漢な話が出てくるので。
先日の上野千鶴子さんの東大祝辞に関して、
彼女は弱者じゃない、強者だとか、
東大男子を強者ととらえているだとか、
変な意見がネットに飛び交っているのですが、
たぶん、
真剣に勉強をしたことがない人なんだと思います。
特に大学に入るまでもそうですが、
大学に入ってから、
大学を出てから勉強した人なんて、
塾の先生でもごくごく一部です。
上野氏は二水高校から一年浪人して京大哲学科に入ったのですが、
私も出身なのでわかりますが、
一浪してからといって京大に行けるような高校じゃないですよ。
東大を舐めている全ての人達へ
中高一貫校が東大京大を席捲していますが、
特別才能が無い人が東大京大に入るということは、こういうことです。
これでもあえて、
「それでも努力ではなく、環境のおかげだと思え」と言ったのです。
血を吐くほどの努力をしたことが無い人には、
分からないものなんですね。
実際このブログの方も、
一時期は殺したいとさえ思ったご両親に、
とても感謝していますものね。
今年、寺子屋からも現役東大が出ましたが、
その子も、中学校の時から相当な内容を下ごしらえしてあったにも関わらず、
(それに付いてきたのも立派。まだ二人しか頑張って付いてきた子はいません)
入試当日までは、
あんなに追い込まれた様子は見たことがありませんでした。
そして、
いろんな過程でたくさんの挫折していった人たちを見ているものです。
そういうのを見ていれば、
自分はたまたま環境のおかげでいい立場に立てた、としか思えないものです。
それを「強者」と呼べる人は、
よほど呑気に過ごしてきた人なんでしょう。
寺子屋では、
いい大学に合格するかどうかより、
なぜその大学に行きたいかを大切にすると、よく言っています。
参照したブログの方は、
高3〜浪人で、7500時間・250万(正直安い。実家から通えたのが大きいかもですね)
中学受験で、勉強時間の表記はありませんが、費用は1000万ほど。
これだけかけても、彼は「留年と戦って」いるようです。
まぁ、大人になってみると、留年どうこうは大した問題じゃないんですが(笑)、
ともあれ、
東大に入るまでの勉強と、
東大に入ってからの勉強に、とてもギャップを感じているような印象なのです。
中学校に入学してから勉強しなかった分、
大学受験で汲々と取り組んでしまったがために、
勉強本来が持っている部分を、
そぎ落としたのが原因だと思うのです。
地方都市出身ですと、中学受験があってないようなものなので、
中学受験に追い立てられない分だけ、
じっくりたっぷりと、
勉強が本来持っている、点数の周辺部分を取り組めるかどうかの勝負です。
その周辺部分と、入学試験を結び付け、
意味あるものにするには、
「なぜその学校に行きたいか?」という部分しかないのです。
ごんぼっち
2019年02月14日
偏差値コースと変態コース
2月中に入るチラシです。
今晩は、本日も粛々。
出口治明「日本に必要な"変態"の作り方」
尖った人材を尖ったまま育てる
プレジデント・オンライン
立命館アジア太平洋大学学長の出口氏のインタビューです。
そういえば、
将来、独立したいというと、
何故か皆さん、
サラリーマンの方が安定していると、
意味の分からない反対をされました。
サラリーマンが悪いと言いたいのではありません。
サラリーマンが安定しているというのが、全く理解できなかったのです。
だって、
安定しているならば、
解雇や倒産を回避できるはずですが、
サラリーマンの立場では、
解雇を回避するような立場には立てず、
倒産を防ぐほどの判断はさせてもらえないからです。
学校教育に変態コースを作るという発想がある時点で、
魚屋に野菜を発注してるような違和感を抱くのですが、
インタビューに出てくるデータを見ていると、
危機感がひしひしと伝わってきます。
公務員やサラリーマン志向が悪いんじゃないんです。
それ「ばかり」なのがまずいのです。
ごんぼっち
2019年01月31日
職人魂を具体化する
今晩は、本日も粛々。
とてもお世話になったショットバー閉店しちゃうそうで、
独立時期も半年違いの同年、
年も1つ違いで、
思い入れが強いお店だっただけに、
やはり飲食店の世界は厳しいなと、
いろいろと考えさせられました。
お酒は好きですが、あまり飲めません(笑)。
味も詳しいわけではありませんが、
個人的な感想では、石川県ナンバーワンです。
そのレベルで、10年持ちませんでした。
そういえばかつて、
経営者たちの前で講演を頼まれた時に、
お話ししたテーマは、
「職人技を、いかに分からない人にも届けるか」でした。
塾も職人技ですので、
職人技以外のひと手間をどれだけできるかによって、
浮沈が決まると言っても、過言ではありません。
まぁ、
職人技以外で流行っている塾の方が多いですし、
とりあえず勉強する場に、子どもが行けば満足、
テストの点数さえ取れれば満足というニーズもありますので、
職人技を持っている塾じゃないといけないと言うつもりはありません。
ただ、職人技を持っている人ほど、
そういうちょっとしたひと手間の大切さに気付かない、
または邪道と切り捨てるがために、
苦しんでいる方が多いのも事実です。
このバーもそういうところが垣間見れて、
とても心配していました。
まぁ、四十代はまだまだ壁に当たって挫ける年じゃありません。
捲土重来を楽しみに、
ファンは信じて待とうと思います。
ごんぼっち
2018年09月29日
矜恃
今晩は、本日も粛々。
知のスレッジハンマー、国文学者佐谷先生の講演会、
保護者が参加希望の方がおいでましたら、メールにてお知らせください。
さて、
新潮45という雑誌が休刊という騒ぎになりました。
出版社の良心みたいな部分を見ることができて、
少しほっとした出来事でした。
あまりにも程度が低い特集に対して、
出版社内部の人が、特集に批判的なツイートを、公式ツイッターでリツイート、
新潮社社長が特別にコメント、
どれも出版社の良心を感じる出来事でした。
一方で、
売れない雑誌は生き残りをかけて、
歴史修正主義や、
「右翼」ビジネスに手を染める有様をみていて、
やるせない気持ちになります。
そして、
程度の低い言論に対して、
きちんと各地から抵抗が出た点に関しても、
昨今の言論状況から考えて、
とてもいい傾向だと思ってみていました。
現代の学生たちが、
そういう言論人の心意気を感じる機会になってくれれば、
もっと嬉しいです。
ごんぼっち